2021年3月26日金曜日

絵本の紹介 

  2月26日の投稿に引き続き、今回もここ数年に出たものを中心に、私のお薦めの絵本の紹介です。

・『いっしょにおいでよ』 ホリー・M・マギー (著), パスカル・ルメートル (イラスト), なかがわ ちひろ (訳)、廣済堂あかつき 2018年

→ この本を読んだ時に、私はピーター・レイノルズの名作絵本『てん』を思い出しました。『いっしょにおいでよ』の方は、多様化に対して心を閉ざしている人が少なからずいる社会が文脈にあるので、2冊の本の文脈は異なります。でも、『てん』に登場する先生も、この本に登場するお父さんとお母さんも、子どもが一足踏み出せるようにして、子どもが自分でできるようにしていく、その様子が心に残りました。

・『がっこうだって どきどきしてる』 アダム・レックス (著), クリスチャン・ロビンソン (イラスト), なかがわちひろ(訳)、WAVE出版 2017年

→ 新学期、新しいことに踏み出したり、未知の人たちに出合うことに、ドキドキしているのは自分だけではないことがわかります。何しろ、学校だってそうなのですから。

・『おばあちゃんと バスにのって』 マット・デ・ラ・ペーニャ (著), クリスチャン・ロビンソン (イラスト), 石津 ちひろ (訳)、鈴木出版 2016年 

→ 上の本と同じく、クリスチャン・ロビンソンが絵を書いています。(クリスチャン・ロビンソンが、イラストだけでなく文も書いている絵本もありますが、そちらの方はまだ邦訳は出ていないようです。)

→ 無償の食事を提供するボランティア食堂のお手伝いに、バスに乗って向かう子どもとおばあちゃん。おばあちゃんの一つひとつの言動が素敵なだけでなく、それに対する子どもの反応もいいです。

・『わたしたちのてんごくバス』 ボブ・グレアム (著), こだま ともこ (訳)、さえら書房 2013年

→  バスつながり?で、この本も入れます。みんなができることを持ちよると、こんなコミュニティができる? バスに落書きしたり、バスを廃車のゴミ捨て場に持っていく人への対応も面白く、そういう人たちをなぜか巻き込めてしまうのはびっくり。こんな場というか、教室はどうやってできるのかなと思います。

・『ゾウは おことわり!』 リサ・マンチェフ (著), ユ・テウン (イラスト), たなか あきこ (訳)、徳間書店 2016年

→ タイトルではゾウだけ登場していますが、「おことわり」される動物はゾウだけではありません。おことわりされる理不尽さ。でも「ゾウだから仕方ないよ」「犬じゃなくっちゃダメ」みたいな反応をする子どももいるかも? もし、いればそこから話も深まるかも。 

・『みんなに やさしく』 パット・ズィトゥロウ・ミラー (著), ジェン・ヒル (イラスト), ドリアン助川 (訳), イマジネイション ・プラス 2019年

→ 「みんなにやさしくしましょう」という掛け声だけでは、おそらく何も変わらないように思います。第一、「やさしくする」ってなんなの?とも思います。グレープジュースをこぼすという具体的な教室の出来事から、「やさしくするって何?」と、自分の日常生活の様々な場に広げて、考える子どもが主人公です。ちなみに英語の原題は Be Kind です。

・『みんなから みえない ブライアン』 トルーディ・ラドウィッグ (著), パトリス・バートン (イラスト), さくま ゆみこ (訳)、くもん出版 2015年

→ こちらも教室が舞台。「やさしくしましょう」と同様に、「みんなと仲良くしましょう」という言うだけでは、それは掛け声だけ。掛け声の代わりに、できる小さなことが見つかるかも。この絵本は、後日、書き手の目で読むことで、「白黒とカラーをうまく使い分ける」という、他の多くの絵本でも使われている技を、改めて学ぶこともできそうです。

・『ねこってこんなふう?』 ブレンダン・ウェンツェル、石津 ちひろ訳、講談社 2016年

→ いろいろな視点で見ると、ネコもいろいろ違って見える、当たり前と言えば当たり前ですが。

*****

★ 今回の絵本は、3月12日の投稿の最後で少し紹介したLayers of Learning という本の中で紹介されていた絵本からです(JoEllen McCarthy著、Stenhouseから2020年に出版)。この本では、「本は一緒に教える先生」と言うセクションもあり、著者の本に対する思いが伝わってきます。また、子どもたちに培ってほしい大切なこととして、CAREという頭文字で、絵本を分類して紹介してます。CAREはそれぞれ、Community(学びのコミュニティ)、Agency(主体)、Respect(尊重)、Empowerment(エンパワーメント)の頭文字です。

 RWやWWに何らかの関わりのある本を読んでいると、絵本がとにかく「ふんだん」に使われているので、ここしばらくは絵本をかなり読みました。邦訳が出ているのが少なくて、残念です。

0 件のコメント:

コメントを投稿