「子どもたちにとって『自分にぴったりあった本』で学年をはじめることができれば最高なのですが、ちょうどぴったりの本を見つけようと教師がどれだけ注意を払っても、なかなかそうもいきません」(ルーシー・カルキンズ 『リーディング・ワークショップ』 171ページ)。
新学期、リーディング・ワークショップをスタートされた先生もいらっしゃると思います。すぐに子どもたちが、自分の読める本に夢中になるとよいのですが、上の文にあるように、そんなに簡単ではないようです。
⇒ 上の文を書いたカルキンズは、上の段落に続けて、少なくとも学年の初めは、「まずは、やさしい本を読みます」と子どもに伝えることで、実際は子どもたちにとってちょうどいいぐらいの本になる、と経験から学んだことを記しています。また、『リーディング・ワークショップ』(173ページ)には、教室の図書コーナーの一部に、難易度で分けたコーナーもつくることも書かれています。『リーディング・ワークショップ』の「自分が読める本で学年を始める」(171~174ページ)をご参照ください。
⇒ そういえば、『読書家の時間』(新評論、2014年)に、小学校1年生の教室から、「ぴったりの本を探す前のスラスラ本をどんどん読もう」というミニ・レッスン例(22~23ページ)があります。また、同じく小学校1年生の教室から、「自分にぴったりの本を探すには」というミニ・レッスン例(28~29ページ)もあります。
選書のサポートは学年の初め、そして年間を通して必要です。以下、子どもたちの選書を助けるためにできそうなことを、日本の教室や文献から、いくつか紹介します。
◆ 退屈そうにしている子どもに気づいたときには、小学校で教える都丸先生は以下を行うそうです。
・その子に合っていない本は、無理に読まなくてよいことを教える。
・教師が一緒に読む。
・教師が一緒に本を選ぶ
・本の難易度が高すぎる場合 → その子にとって読みやすい本(すらすら読める)を紹介する。
<そして、学期が進んで子どものことがわかってくると>
・過去の読書履歴から、その子に合う本を紹介する。
・本の内容自体に興味がもてない場合 → 興味がもてる内容の本を紹介。虫が好きな子には昆虫についての本、野球が好きな子には、野球がテーマの本など。
さらに選書を助けるために行っていることとして、以下を教えてくれました。
・数ページ読んでみることをすすめる → すらすら読めるかどうかを確かめる。
・読み聞かせをした本の作者が書いた別の作品をすすめる(これは、特に低学年に効果的だそうです)。
・ 朝の会(または帰りの会)に本の紹介コーナーを設定する。 → 教師や子どもたちがおすすめの本を紹介し合うことが日常になる。
・ 作品の背景となる情報を提供する。(作品の舞台、ジャンル、ネタバレしないあらすじなど) → その本への興味を高める。
このように、都丸先生の教室では、それぞれの子どもについて知ったことも活用しながら、選書のサポートが継続的に行なわれているのが、よくわかります。
◆ リーディング・ワークショップ関連の本で、新学期が始まって少したった頃によいかも?と思ったのは、子どもたちが、自分が使える選書の基準をつくれるように、「やさしい本」「ちょうどぴったりの本」「難しい本」とはどういう本なのか(どういう特徴があるのか)を、クラスで話し合って、リストをつくる★というものです。
⇒ 子どもたちは、難しい本が、自分を読み手として成長させてくれると思い込んで、読めない本を読もうとすることもあるそうです。ちょうどぴったりの本を、たくさん読むことで、読書家として成長できること、難しすぎる本は、少し先に読めるようになるときまで待つことなども、一緒に伝えてもいいかもしれません。
また「今読んでいる本を読むのをやめるのは、どういうときか」というリストをつくる★★というのも、あります。こうすると、やめた方がいい本というのは、読んでいて、どのように感じる本なのか、というイメージも具体的にできそうです。
新学期の慌ただしさの中ですが、以下のアトウェルの言葉を読むと、選書のサポートの大切さを、改めて感じ、選書のサポート頑張らなくっちゃ!と思わされます。
「楽しめない本を読む生徒がひとりもいないようにする、というのが、私の最重要課題。本に満足できないと、私が決して教えたくないこと、つまり読書は退屈だと学んでしまうことになります。満足できない本はやめてもよい、と許可するだけでは不十分で、むしろ、やめることを奨励しますし、時には即時停止命令を出すぐらい」
(ナンシー・アトウェル 『イン・ザ・ミドル』 148ページ)
*****
★と★★ どちらも、Irene C. Fountas, と Gay Su Pinnell の Guiding Readers and Writers, grades 3-6 (Heinemann, 2001)より。
143-148ページに、最初の20時間のミニ・レッスン例のリストがあります。この二つのレッスンは、どちらもその中にあります。
新学期、リーディング・ワークショップをスタートされた先生もいらっしゃると思います。すぐに子どもたちが、自分の読める本に夢中になるとよいのですが、上の文にあるように、そんなに簡単ではないようです。
⇒ 上の文を書いたカルキンズは、上の段落に続けて、少なくとも学年の初めは、「まずは、やさしい本を読みます」と子どもに伝えることで、実際は子どもたちにとってちょうどいいぐらいの本になる、と経験から学んだことを記しています。また、『リーディング・ワークショップ』(173ページ)には、教室の図書コーナーの一部に、難易度で分けたコーナーもつくることも書かれています。『リーディング・ワークショップ』の「自分が読める本で学年を始める」(171~174ページ)をご参照ください。
⇒ そういえば、『読書家の時間』(新評論、2014年)に、小学校1年生の教室から、「ぴったりの本を探す前のスラスラ本をどんどん読もう」というミニ・レッスン例(22~23ページ)があります。また、同じく小学校1年生の教室から、「自分にぴったりの本を探すには」というミニ・レッスン例(28~29ページ)もあります。
選書のサポートは学年の初め、そして年間を通して必要です。以下、子どもたちの選書を助けるためにできそうなことを、日本の教室や文献から、いくつか紹介します。
◆ 退屈そうにしている子どもに気づいたときには、小学校で教える都丸先生は以下を行うそうです。
・その子に合っていない本は、無理に読まなくてよいことを教える。
・教師が一緒に読む。
・教師が一緒に本を選ぶ
・本の難易度が高すぎる場合 → その子にとって読みやすい本(すらすら読める)を紹介する。
<そして、学期が進んで子どものことがわかってくると>
・過去の読書履歴から、その子に合う本を紹介する。
・本の内容自体に興味がもてない場合 → 興味がもてる内容の本を紹介。虫が好きな子には昆虫についての本、野球が好きな子には、野球がテーマの本など。
さらに選書を助けるために行っていることとして、以下を教えてくれました。
・数ページ読んでみることをすすめる → すらすら読めるかどうかを確かめる。
・読み聞かせをした本の作者が書いた別の作品をすすめる(これは、特に低学年に効果的だそうです)。
・ 朝の会(または帰りの会)に本の紹介コーナーを設定する。 → 教師や子どもたちがおすすめの本を紹介し合うことが日常になる。
・ 作品の背景となる情報を提供する。(作品の舞台、ジャンル、ネタバレしないあらすじなど) → その本への興味を高める。
このように、都丸先生の教室では、それぞれの子どもについて知ったことも活用しながら、選書のサポートが継続的に行なわれているのが、よくわかります。
◆ リーディング・ワークショップ関連の本で、新学期が始まって少したった頃によいかも?と思ったのは、子どもたちが、自分が使える選書の基準をつくれるように、「やさしい本」「ちょうどぴったりの本」「難しい本」とはどういう本なのか(どういう特徴があるのか)を、クラスで話し合って、リストをつくる★というものです。
⇒ 子どもたちは、難しい本が、自分を読み手として成長させてくれると思い込んで、読めない本を読もうとすることもあるそうです。ちょうどぴったりの本を、たくさん読むことで、読書家として成長できること、難しすぎる本は、少し先に読めるようになるときまで待つことなども、一緒に伝えてもいいかもしれません。
また「今読んでいる本を読むのをやめるのは、どういうときか」というリストをつくる★★というのも、あります。こうすると、やめた方がいい本というのは、読んでいて、どのように感じる本なのか、というイメージも具体的にできそうです。
新学期の慌ただしさの中ですが、以下のアトウェルの言葉を読むと、選書のサポートの大切さを、改めて感じ、選書のサポート頑張らなくっちゃ!と思わされます。
「楽しめない本を読む生徒がひとりもいないようにする、というのが、私の最重要課題。本に満足できないと、私が決して教えたくないこと、つまり読書は退屈だと学んでしまうことになります。満足できない本はやめてもよい、と許可するだけでは不十分で、むしろ、やめることを奨励しますし、時には即時停止命令を出すぐらい」
(ナンシー・アトウェル 『イン・ザ・ミドル』 148ページ)
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★と★★ どちらも、Irene C. Fountas, と Gay Su Pinnell の Guiding Readers and Writers, grades 3-6 (Heinemann, 2001)より。
143-148ページに、最初の20時間のミニ・レッスン例のリストがあります。この二つのレッスンは、どちらもその中にあります。
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