2016年1月23日土曜日

フィクションを書くことを教えるには?

 2016年1月2日のRWWW便りで、ブッククラブで読む本に、自分の書いた本を使いたい子どもたちや、物語づくりにはまった子どもがいる教室を紹介したこともあり、その後、子どもがフィクションを書くことを、どうやってサポートしていけばいいのか、考えています。

 「読む」という面から考えると、フィクションは、子どもにとってはおそらく小さい時から親しんでいる身近なジャンル、教師の中でもフィクションを読むのが好きな人もいると思います(私も含めて)。 
 でも、教師にとっては、「フィクションを書く」というのは、頻繁に教えるトピックではないのかもしれません。改めてどうやって教えたらいいのか? と思い、いくつか考えたことを共有します。

(1)フィクションを書くことは、子どもの経験から離れた荒唐無稽なものを書くことではなく、子どもが自分の経験を、(実際に経験したことだけに限定されずに)、「仮定や仮想」という目を持って見直す道を開くものでもある、こんなことを最近読んでいる本★から、学びました。

 WWでは、「まずは自分がよく知っていること、興味のあること」から題材さがしをするように言うことが多いと思います。

 でも、フィクションだって、自分がよく知っていること、興味のあることの延長線上にあり、ただ、そこに行くために、現実としては起こらなかったことを仮定する想像力が必要、それを後押しできるように教える・サポートするという考え方もいいな、と思いました。

 → そういえば、『ライティング・ワークショップ』(新評論、2007年)の共著者フレッチャー氏とポータルピ氏が書いた、書き手の工夫を教える本★★(ミニ・レッスンのアイディアが満載)の中に、「もし~であれば」という質問を使って、イマジネーションを使うレッスンがあるのを思い出しました。

 このレッスンから、自分が「どうなんだろう?と思いつつも、答えが見つかっていないこと等で、「もし~であれば」という、一つの質問を掘り下げて考えることで、物語ができる可能性があることを教えていますし、フィクションの話が子どもの手に負えない大きなものにならないように、でも、現実という枠に閉じ込められないようにしているのが分かります。

(2)フィクションを書くときには、短いテキストを読むことからスタート

 フィクションに限らず、WWのミニ・レッスンを見ていても、絵本や短い読みものを使うものも多いです。個人的には、「短い」のは、一つのポイントだと思います。(上の「もし~であれば」というレッスンでも、George Ella Lyon の Cecil's Story という本が、子どもたちが考えるきっかけとして、使われています。)

 最近、面白いと思った実践例は「超短い物語」を「書き手の目」で見て、どうすれば効果的な「超短い物語」が書けるのかを考えている例です★★★。これはアメリカの教室で、300単語以下の物語(マイクロ・フィクションと言うそうです)を一つのジャンルとして教えています。(日本語で読める、お薦めの「超短い物語集」としては、何があるのでしょうか?) 

 (→ 9月11日のRWWW便りで、丸岡町の出している「一筆啓上」シリーズを紹介しましたが、その後、高校の英語先生から、WWでメンターテキストとしていくつか紹介したあと、面白い作品がでてきたことを教えてくださいました。これは手紙というジャンルですが、どのジャンルにせよ、いい作品を紹介するのは大切ですし、短いと時間的にも扱いやすい、という大きなメリットもあります。)

 私は「読み」の授業では、「フィクションの種類は特徴」などを扱います。フィクションを理解する上では有効な情報だと思いますが、「テーマは? 場面設定は? 登場人物は? 起こる問題は?」等の質問を、書くときのスタート地点としては使えるか?と言われると、馴染みにくい感がぬぐえません。ここしばらくWWを教えていないのですが、今度、WWを教えるときには、短いフィクションをたくさん読んでそこからメモを取り、効果的な書き方を自分で見つけていく方を選びたいと思っています。

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★ このブログでも何度か紹介しているNancie Atwell氏の In the Middle 第3版 (2015年、Heinemannより出版)の461-462ページより。

★★ Ralph Fletcher と JoAnn Portalupi著の Craft Lessons: Teaching Writing K-8 (Stenhouse 1998)ですが、ミニ・レッスンのアイディア満載です。しかも小学校2年生まで、3~4年生、5年生~中学校2年生と、3つの年齢レベルに分けて紹介されています。上の「もし~であれば」は 48ページのExercising the Imagination というレッスンで出てきます。
 
またこの本のノン・フィクション版もあり、Nonfiction Craft Lessons: Teaching Information Writing K-8というタイトルで、2001年に出版されています。

★★★ 上の★で紹介した本の461ページから始まる章は「短いフィクション」という章で、その中で、マイクロ・フィクションという、300単語以下で書かれているような短い話を使っています。
472-ページ以降を中心に。 

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