2015年11月13日金曜日
理解できないところを「自分で」見つけられるようにする
(皮肉たっぷりの言い方で)「そりゃいいね。なにしろ全部分からないないんだから」
上のセリフは、時々読み直す本★の中で出てくる子どもの発言です。
「分からない!」と言う子どもたちに対して先生が、「最初に分からなくなったと思った箇所に付箋を貼って、どのように分からないかメモしてみましょう」と言ったことへの、子どもの応答です。
(先生)「どこか分からないの?」
(生徒)「全部」
という会話は、この教室だけでなく、自分が教えてきた経験からも、けっこう耳にしてきた気がします。
こういう子どもたちは、分からないまま過ごしてきた時間が長かったのでは?と思います。
そういう子どもたちに、特に必要ではないかと思うのが、「分からない箇所がどこか、どこで分からなくなったのかを、自分で見つけることができる」という能力です。「自分が理解しながら読めているのかどうかを、自ら確認する能力」と言えるのかもしれません。
分からないところを、自らはっきりさせないまま、長年、読むフリ?をしてきた子どもたちには、理解できないところを「自分で」見つけられるようにする、というミニ・レッスンはいかがですか?
この本の著者は、以下のようなときは、分かっていない場合が多いと、子どもたちに教えています。
1.テキストと対話ができなくなり、ただ、単語を追っているだけになっているとき
2.頭の中の「映像カメラ」が切れてしまい、何が起こっているのかイメージできないとき
3.テキストから離れて、他のことを考え始めるとき
4.読んだことについて何も覚えていないし、再話できないとき
5.はっきりさせるための質問に、自分で答えられないとき
6.登場人物が再びでてきても、誰だったか思い出せないとき
ミニ・レッスンなどで短いテキストを使い、「分かっている箇所と分かっていない箇所を、自分で見極める」という練習も、(特に高学年には?)時には必要な気がしています。
また、学期の早いうちに一度行うことで、「分からないことを見つけることは大切、これは自分で行うこと」、というメッセージをはっきり送るのも、いいかなとも思っています。
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★ 上で紹介した本は Cris Tovani著のI Read It, But I Don't Get Itで Stenhouse より2000年に出版されています。うえの6つのは38ページにやや詳しめに、48ページにまとめて載っています。
余談ですが、RWというと、私の頭にはまずナンシー・アトウエル氏の実践が浮かびます。同じRWと言っても、上の本を書いたクリス・トバニ氏の実践とは、受ける印象がかなり異なります。
トバニ氏の方が、読み方をどうやって教えるか、そして、そのための練習も具体的に載っています。これらを意識しすぎると、かえって、読む流れが中断するのでは?と思うときもあります。でも、読むことは楽しい、とか、しっかり理解して読んでいる、という経験の乏しい子どもを教えるときのヒントは多いように思います。
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