2014年9月26日金曜日

題名についてのミニ・レッスン

  題名についてのミニ・レッスンはいろいろな方法がありますが、私が「そうだな~」と納得しているミニ・レッスンは以下です。

 一番よく行うのは、『ライティング・ワークショップ』の著者2名 (ラルフ・フレッチャー、ジョアン・ポータルピ)が書いた、ミニ・レッスン集ともいえる本★の中で紹介されていた「仮の題をつける」というものです

 これは2010年9月24日のRWWW便りでも紹介しましたが、仮の題をつけることで、何について書くかをはっきりさせることができ、とりあえず下書きを書き始めることができます。

 あとで仮の題を再考して磨くのですが、最初につける題は「仮の題」だと、最初から意識することで、書いている間も、「あとで題を変える」ことを考えている気がします。ですから、題に使えそうな言葉が出てくるとメモしたりもできます。私自身、自分が何かを書くときに、必ず使うプロセスでもあります。

 次によく使うのは、「題のブレインストーミング」(できる限り出して見る、あるいは最低10を考えてみる)です。自分でやってみると、5つぐらいはすぐ出せるのですが、10はけっこうたいへんです。★★

 あとは「いい題の条件とは?を考える」でしょうか。★★★

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 最近、ミニ・レッスンをしてみたいと考えているのが、「題が選書の決め手になる瞬間」の提示です。

 自分の選書の傾向を考えると、「題」ではなくて「著者で」選ぶことが一番多い気がします。そして次がテーマ。もちろん、人から本を紹介されることも大きいです。あとはいい本の中で紹介されている本を芋蔓式に読む。そう思うと、選書の一番の基準が「題」ではないので、題のミニ・レッスンにはあまり意味がないのでは?とも思ってしまいます。

 しかし、同じ著者の中での読み物を選ぶときや、著者についての情報がほとんどないとき、そして実際に本を手にとれないときは、「題が選書の決め手になる」確率がぐっと上がります。

 たとえば同じ著者の本の題名を図書館の検索画面で見せる、あるいは子どもがあまり知らない著者の本のリストを作成して、この中から一つ選ぶとすればどれにするかを尋ねる等々、「題が選書の決め手になる」瞬間をつくって、選書を体験し、それを振り返る、そんなミニ・レッスンを考えてみたいと思っています。

 (その次の時間は、読み書きのつながりで、題だけで読み物を選んだ場合、そのあとにすべきことや、題以外の選書方法に焦点をあててもいいかもしれません。)


 
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★ このミニ・レッスンは、Craft Lessons: Teaching Writing K-8, 104ページに載っています。

★★ 作家ノートについての Aimee Bucknerの本、Notebook Know-How: Strategies For The Writer's Notebook の中に、10の書き出しを考えるなど、作家ノートを使っていろいろな選択肢を考える方法が書かれています。

★★★ これは中学レベルの優れた実践者、Nancie Atwellの In the Middle の163-164ページの中で紹介されています。

2014年9月19日金曜日

本のカバーデザイン

 本のカバー(表紙や裏表紙)のデザインをする人が、その舞台裏?というか仕事を語っているプレゼンテーションのビデオをインターネットで見つけました。

 『リーディング・ワークショップ』(ルーシー・カルキンズ著、新評論)51ページには、子どもの前で、本の表紙をしばらく見て考える教師の姿 がでてきますし、231ページからは、ブッククラブで、『朝びらき丸東の海へ』の表紙をみて素晴らしい話し合いをした子どもたちがいたことが分かります。 (→ ただ、後者は、表紙についての素晴らしい話し合いを「金魚鉢」でみんなの前で行ってもらうとうまくいかなかったようです。それについて教師がどのようにサポートできるかが、次の232ページで紹介されています。)

 それだけ表紙からわかることも多いのだとも思います。


 残念ながら、インターネットで見つけた映像は、そのまま教室で見せるのは無理(教室で子どもに見せるには不適切な部分もあるし、子どもにはピンとこない部分も多いと思います)だと思います。

 見つけた映像は、多様なプレゼンが見れるサイトの「TED」の中にあり、Chip Kidd氏「Designing books is no laughing matter. OK, it is」というプレゼンで、日本語の字幕を出して見ることもできます。このプレゼンの中では、『ジュラシック・パーク』、『1Q84』など、日本でもお馴染みの本も登場します。
http://www.ted.com/talks/chip_kidd_designing_books_is_no_laughing_matter_ok_it_is?language=ja 

 このプレゼンで、本のデザインを決めるプロセスを見ていると、内容をしっかりつかみ、それをどのように提示するのかを考えているのがよくわかります。これは本の紹介のプロセス、特に本の紹介ポスターをつくるプロセスとは、重なる部分もあると思います。

 この映像自体は授業では使いにくいと思いますが、表紙を使って話すミニ・レッスンを考える前に、上のプレゼンを見ると、作り手の工夫もわかり、ミニ・レッスンに間接的に活かせることもけっこうあるように思いました。


2014年9月13日土曜日

書く力を確実につける方法



 おさらいです ~ 基本的には、作家のサイクルを回し続けることでいいのですが、若干のバリエーションとして。
 もうWW(ライティング・ワークショップ)を実践している方は、当たり前になっている項目が多いと思いますが、まだやられていないのがあったら、ぜひ挑戦してください。

     対象と目的を設定して書く
     教師がモデルを示す ~ 考え聞かせをしながら
     一緒に練習する shared writing
     必要のある子は、教師がフィードバックしながら書く guided practice
     そして何よりも大切なひたすら書く時間をたくさんとる ~ カンファランスで、よりよい文章に。
     多様な出版・発表の機会を提供する

家で書かせるのは、④までしっかりできていないと、時間な無駄/マイナスの効果になる可能性もあります。

 以上のリストから、RW(リーディング・ワークショップ)の影響が色濃く見えます。
 もともとは、WWがあまりにも効果的なので、それを真似する形で始まったのがRWだたのですが、読みに特有なものがあると思って、独自の方法を開発したわけですが(shared readingguided readingなど)、今度は、それらをWWに応用したのが③や④というわけです。
 その意味でも、WWRWは両方並行して実践するのが効果的なんだと思います。

 上記のリストに含まれていないのが、ブッククラブを転用した「作家クラブ」です。
 これは、ここ数年盛んに行われるようになって来ました。
 読むときは、ペア読書、読書パートナー、そしてブッククラブなど2人以上で読むチャンスが結構あるのに、書くときはひたすら一人というのはまずいということで。
 まさに、ブッククラブを書くことに応用した方法だと思ってくれていいのですが、詳しくは、過去数回の記事を参照してください。


★ おまけ: 「書くこと=考えること、学ぶこと」なのですが、どうも一般的にはそうは捉えられていないようです。国語でもそうですが、他教科では一層!! 「書くこと=考えること、学ぶこと」を実現するには、以下のような理解が必要です。
     書くのは直線的ではなく、行ったり来たりで柔軟である
     何を書くのか自分で決める。書く理由が明確にある
     話すことが書くプロセスに位置づけられている
     継続的にかつ頻繁に書く時間が提供されている

2014年9月5日金曜日

新学期はじめてのリーディング・ワークショップ


小学1年生を対象にRWを実践している埼玉の小鴨さんからの報告(9月2日付)を紹介します。

今日は朝から図書室にGO!夏休みにかりていた本を返してまた2冊借りる。
子どもたちが全員教室に戻ったのを見届けてから教室に戻るとみんな借りてきていた本をよく読んでいて。まずそれが嬉しい。

おもしろいことに、1学期はいわゆる絵本を2冊借りていた子どもがほとんどだったのに今日選んだ本を見ると絵本を2冊選んだ子どはほとんどいなく、1ランクレベルが上がっている感じ。もちろん厚さの問題ではないけれど。でも不思議。夏休み中になにがおこったのか? 

何人かの子どもに夏休み中の読書生活について「借りていった本は全部読んだの?」「借りた本以外にも読んだ?」「図書館に行った?」といくつかインタビューしてみると、学校から借りた本以外にも読んでいたという子がけっこういる。ある女の子に「じゃ2日に1回くらいは読めたかんじ?」と尋ねると「2日に1回というか、夜毎日読んでたよ。」

「…。」すごい。負けた(笑)

学期そんなにごりおしした覚えはないのだけれど、1学期最初と最後の保護者会で読書を大切にしたということを伝えていたことは大きかったのかな~。もしくは、1年生は伸び幅がすごいってことか。 

1学期のことを思いだすと「RWやってます!」と大きい声ではいえないのですが、でも毎週月曜日の1時間目は必ず図書室に行き、その他に週2 時間程度は読む時間を確保し、選書・読み聞かせを使ってミニ・レッスン→ひたすら読む→振り返り・本の紹介みたいな感じでやってきました。  

ひたすら読む時間は、最初はほとんどひらがなが読めない子を集めて質問しながら一緒に読んでいたけど、だんだんと手放して1回に3~4人程度カンファランスするところまではもっていけたかな? ちなみにほぼソロで読むことで1学期は終えました。最後に今日読んだ本の話をしたり、質問したりする時間は全体で共有。  

前年に担任していた3年生みたいに「本の虫」みたいな印象は受けなかったのだけれど、それなりに子どもたちの中に自分で読む習慣みたいなのができていたということでしょうか。 

おそるべしリーディング・ワークショップ。選べる本が図書室や教室にたくさんあるからな~。私自身の負担感みたいなものが限りなく少ない。 

写真は1時間目を終えて解散した後。後ろに集まって読み始める子どもたちの様子が単純にかわいらしいのと、この衝動?意欲?どっからくるんだ?と、とても興味深かった一瞬。