「WWはノートが1冊あればスタートできるが、RWは教室にそれなりの本がないとスタートできない」と思う人は少なからずおられると思いますし、私もそう考えていました。
そして、RWを始める前も、始めてからも、子どもたちがどんどん読みたくなるような本を増やすことに腐心している先生は多いと思います。子どもたちの嬉しそうな顔が見たくて、自分のお金で本を購入することも、度々あるかもしれません。
そのうちに、教室の本が増えるだけでなくて、公立図書館の団体貸出で50冊程度を一度に借りる等、本の増やし方にもバリエーションが出てきて、子どもたちの本に関する物理的環境は、だんだん、よくなっていくように思います。
ただ、このプロセスを「ひとりで頑張って」行う先生が多くないでしょうか?
最近思うことは、RWをいい形で続けるためには、ある意味、「ひとりで頑張る」時期からの旅立ちの模索が必要ではないか、ということです。教室の図書コーナーについても、ある時期に、教室の中から、教室の外へ開く方法を考えるのも、その模索の一つになりそうに思います。
実際のところ、私の知っている先生たちのなかには、充実してきた図書コーナーの本を、自分のクラスの子どもに限定せずに、廊下に置いたりして、同じ学年の子どもに解放したり、隣のクラスの先生にもRWを一緒に呼びかけたりということを、考え始めている人もいます。
私の場合は「外に開く」場所は、今のところ校内の図書館です。昨年、図書館に思っていたよりも、かなり多くの金額のリクエストが出せることが分かり、リクエストを出し始めています。そのおかげで、(私が勝手に思っているだけですが、少なくとも私には)図書館が教室の図書コーナーの一部のように思えます。(図書館内の本の配置までは口を出せないので、図書館にある本の、短いコメント入りのリストや表を作成して配布するなどの工夫をしています)。
リクエストを出してすでに入れてもらった本は、まだ100冊強ですが、それだけでも、RWの運営がしやすくなるのを感じます。第一に、私の管理しなければいけない本の数が減ります。また教室の本がすでに借り出されていても、図書館にあるのがわかっているので、「あとで行って借りてきてね」と言うこともできます。また教室にスペースがない場合は、シリーズもののうち1,2冊を教室に置いて紹介するということも可能です。今後、もし、他のクラスでRWに興味をもってくださる人がいれば、その人にとっても取り組みやすくなります。これからも沢山リクエストを出そうと思います。
『リーディング・ワークショップ』(ルーシー・カルキンズ著、新評論、2010年)で紹介されている教室の多くは、「読み書きを学校の中心に位置づける」(28~32ページ)というセクションに書かれているように、校長先生もリーダーシップをとりつつ、学校全体でRWに取り組んでいる印象があります。
これは、「RWをひとりでスタートしなければいけない」ことが多い日本の学校とは、かなり違う気がします。「ひとりでスタートしなければいけない」からこそ、ある時期に「教室の図書コーナー」を外に開く方法の模索を始めることにも、価値がありそうに思います。