私は今まで子どもたちの読書記録を読んで、子どもたちを読み手として理解しようとはしていましたが、子どもたちに自分の読書記録を振り返らせることをやらせてなかったです。
フランキー・スィベーソンとカレン・スズィムズイアックの実践を見習って、今年度教えていた4年生のクラスの子どもたちに、それぞれ自分の読書記録の振り返りをさせました。読書記録の振り返りの目的は読書記録から気づいたことを出して読み手としての自分の理解を深め、その気づいたことを目標設定など次に活かすことです。
読書記録と読書ノートは違います。読書ノートは別にノートを用意させて主に本を読んでいる時に生まれる自分の思考を書く場として使わせています。
読書記録はいろいろなバリエーションがあります。日付と読んだ本のタイトルだけを記録するようにできているデザインの読書記録もあれば、それに加えて読み終えた本の累計、本の評価やジャンルを書く欄、また途中で読むことをやめたか、最後まで読めたかを記号で書く欄があるなど目的に応じて様々なデザインの読書記録があります。
読書記録の振り返りシートはスィベーソンらの実践をほぼ忠実に再現して以下の質問項目のものを使いました。
「読書記録から気づくことは何ですか?」という質問については、「よく読むのが怪談レストランシリーズと青い鳥文庫」、「物語が多い」、「スポーツの本を読んでいる」というように、「どのように本を選びますか?どんな方法で読む本を決めますか?」という質問については、「好きなシリーズの本を選んでいる」、「表紙を見て選ぶ」、「題名で決める」というように、子どもたちが読み手としての自分の理解を深められていたり確かにできていたりすることが分かりました。
「読む本を選ぶ方法の中でこれから取り組みたいことは何かありますか?」という質問については、「1ページではあまり分からないから2、3ページ読みたい」、「友だちのおすすめを聞く」というように新たな選書の方法にチャレンジしたいという目標が設定できているのが分かりました。
自分がどんな読み手であるかの理解を深めることは読み手として成長を助けます。読書記録の振り返りで自分の理解を深める目的の一つは自分の課題をはっきりさせることです。この振り返りシートで子どもたちは読み手としての自分の理解を深めることができたことによって、今までしてこなかった選書の方法にチャレンジしようなど、主に選書の目標設定を助けることができたと思います。
振り返りシートの質問を振り返ると、これからどんな選書の方法を試したいかだけではなく、他にも読書の課題や目標を考えさせる質問があると振り返りシートがよりよくなるだろうと思いました。ジャンルについての質問があるので、例えば読んできた本がスポーツの本をばかりだから他のジャンルにもチャレンジしたいなど他の課題の明確化や目標設定につながる質問です。
もう一度スィベーソンらの本を再読すると、この読書記録の振り返りシートに加えて、学期末の読書記録の振り返りシートが別にありました。
具体的には学期末の振り返りシートには以下の質問項目があります。
・家と学校で読み終えた本のリストを書きましょう。
・途中で読むのを止めた本のリストを書きましょう。
・新しい好きな作家やシリーズは見つかりましたか。
・読んだすべてのジャンルのリストを書きましょう。
・次の学期に読みたい本はありますか。
・今学期の読書で最も誇りに思うことは何ですか。
・来学期の目標は何ですか。
またスィベーソンらの実践では、子どもたちが次に自分のなりたい読み手のゴールを考えて、そのゴールに合わせて自分の読書記録シートを創るという実践につなげています。自分の読書記録シートを創るという取り組みの中で、子どもたちが読書記録と読書ノートを融合した読書記録シートを創っているところは興味深いです。例えば予想するという読み方ができるようになることを目標とした子は、自分の予想を書き込む欄を読書記録のシートに創っています。今年度はここまでやれませんでしたが、来年度はチャレンジしたい実践の一つです。
出典
Franki Sibberson & Karen Szymusiak, Day-to-Day Assessment in the Reading Workshop: Making Informed
Instructional Decisions in Grades 3-6, Scholastic Prof Book Div 2008, traditional
reading log p68