前回、ミニ・レッスンをどのように計画するのかについて書きました。そんなこともあり、一度、自分の中で(主に)RWとWWに おけるミニ・レッスンとは何だろう?と整理してみたくなりました。
RWやWWを実施している多くの人の共通理解としては、「授業の最初に短時間(5- 15分)で行うことが多く、クラス全員にポイントを絞って教える時間」ではないかと思います。
(★教える対象者が「クラス全員」である点は、カンファランスとの大きな違いだと思います。)
ただ、中学校レベルの優れた実践者のアトウエル氏の本を見ていると、彼女の中でもミニ・レッスンが進化しているのも感じます。
少なくとも、「5~10分で、先生がしっかりポイントを一方的に提示する」ようなレッスンだけに限定していないように思います。一方的ではなくて、教師と生徒がミニ・レッスンで一緒に考えることもできる部分もあると、アトウエル氏の本を教えてくれているようにも思います。
そんなことも思い出しつつ、「私にとってミニ・レッスンとは?」と考えてみました。
とりあえずのイメージは、「河口に向かうボートにクラス全員が乗っている」です。
① このボートにクラス全員が乗っていることにより、例えば「オール」、「船尾」 など、クラス全員でボートや川下りについて、共有できる言葉がある。
ちょうどミニ・レッスンで、ある作家について学んだ後では、「ロイス・ロー リー」といえば、クラスのみんなが知っているのと同様です。みんなが共有している 土台であり、共有している知識でもあり、何かを語るときに基本となる枠組みでもあ るように思います。
② 先生には河口までどうやって進むのかについてのイメージや地図はあるが、川の荒れ具合や天候によって、調整が必要。また、次に教えることについては、それぞれ が現在、どんなふうに漕いでいるのかが基本となる。
(★ ただし教えている時間よりも、もちろん、漕いでいる時間のほうが長い)
教えている内容は、実際にボートを操るのに役立つこと。うそっぽいことや、実際に行わないことは教えません。また、子どもがどのようにボートを操っているのか、 これがスタートポイントにもなります。
★ 先生自身も、自分の漕ぐスキルを常に向上させている。
★ 川の曲がり具合や天候により、教える時間の長さが変わることもある。また、一緒に新しい漕ぎ方を試してみて、分かることもある。
③ 河口は学年末(あるいは卒業時)。ここからはそれぞれが新しいポートで、新しい川や海出て行く。
より大きな、新たな世界に出て行くという違いはあっても、どちらも本当に川で ボートに乗っているという点では同じ。
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ちなみに 『リーディング・ワークショップ』には、次のようは文章が登場します。
「ミニ・レッスンは、子どもたちを集めて問題解決に向けて取り組む最良の場を提供してくれます。ミニ・レッスンは、私たちが教えていこうとするカリキュラムを動かしていく力となるのです。ミニ・レッスンがあるからこそ何か素晴らしいことがはじめるという期待感をもって、一貫性のある、しっかりと構成されたリーディング・ ワークショップをつくっていくことができるのです」(82ページ)
「ミニ・レッスンは、子どもたちの日々の学びや生活と関係のないところに存在しているわけではありません。ミニ・レッスンで取り扱われる内容は、教室で行われている読むことにまつわる様々は活動と密接に関わっています」(83ページ)
また、 『リーディング・ワークショップ』の著者のカルキンズ氏は、書くことの教え方についての本(The Art of Teaching Reading)では、「ミニ・レッスンは一見 すると短時間の講義のように見えるが、そうではない」と言っています。
この本を見ていると、短時間の講義とミニ・レッスンの違いは、ミニ・レッスンの場合は「子どもありき」、つまり、実際に書いている(あるいは読んでいる)子ども たちがいて、その子どもたちの助けとなることは何かと考える、ここにミニ・レッス ンが存在する、そんな風に感じます。
出典:
アトウエル氏のミニ・レッスンの考え方は、 Nancie Atwell著 In the Middle (Second Edition), Boynton, 1998 の 150-151ページを参照しました。
『リーディング・ワークショップ』 ルーシー・カルキンズ著 新評論、2010年
Lucy McCormick Calkins著 The Art of Teaching Writing (New Edition), Heinemann, 1994では、193-217ページの12章にミニ・レッスンについて詳しく書かれています。
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