毎週、金曜日更新予定のWW便りですが、今回は1日遅れて しまいました。すみません。
夏休みもあと少しです。早いです。夏休みの間に「増やしたいもの」 として、「メンター・テキスト」、「教室の壁に貼っておきたいような書 くこと、読むこと、学ぶことについての名言(インパクトのある、他の人の言葉)」などが、8月のWW便りで登場しました。
今日も「増やしたいもの」について書きます。今回は「お気に入りの作家を増やそ う」です。
読み書きのつながりについては、『ライティング・ワークショップ』7章 の最初のエピソードで、「上手に書かれている話の『響き』を知っ て」いる子どものことが語られていて、その「響き」は読むことによって蓄えられると書かれています。
「美味しい食事を味わうことなく、名シェフになりたいと思うで しょうか。先達の画家の創造的な作品を知らずして、一流の画家に なることができるでしょうか。同様に、十分な読書をしていない子 どもたちが、書き手として成長することができるでしょうか」と 、『ライティング・ワークショップ』の著者たちは問いかけています。
おそらくライティング・ワークショップ(WW)を実践されている先生方は、リーディング・ワークショップ(RW)にも興味 をお持ちか、あるいは読みの授業をRWで実践されている方も 多いと思います。 そしてRWを行っていると、子どもたちは、自分の好きな作 家を見つけたり、あるシリーズを続けて読んだりということがよく あると思います。
たくさん読書をする中で、お気に入りの作家やシリーズが見つかることで、子どもたちは、もちろん、個別の作品から作家の技や「上手く書か れている話の響き」を学びます。
しかし、それだけではありません。例えば大きめのトピック やテーマを、「これはシリーズで扱おう」と思ったり、「○○という作家のよ うに、いくつかの作品に共通するテーマを描こう」など、書き手と してダイナミックな成長のきっかけにもなります。
またお気に入りの作家やシリーズについて、それを題材に使って、論評や書評を書くこ とも、もちろんできます。
子どもたちが作家としてダイナミックに成長するためにも、先生もぜひ、 お気に入りの作家やシリーズを増やして、それを子どもたちに語っ ていきたいものです。
*****
私は本を読むのが大好きです。そして、WWとRWに関わり始め てから、児童文学の読書量が急増し、そのおかげで、 私の人生をとても豊かになっていると思います。私は英語の教師なので、英語で読めるものについては、その作家の作品のほとんどを読了したような作家も少しずつでてきました。そういう作家については、その作家・シリーズから学べることについて、できれば英語の先生たちや、洋書を読んでみたいと思っている生徒たちにも、書いてみたいです。(それで、書ける場をさがしてみたいと思っています)。
こういう作家について具体的に書き始めると、WW便りでなくて、RW便りになってしまいそうです。でも、読み書きのつなが りという点から考えると、WW便りとRW便りは連動しているのだろうと思います。
教師が読むことを大好きになることで、そしてお気に入りの作家を見つけたりすることで、そしてその楽しさを子どもたちに伝えることで、WWの時間も豊かになると思います。
そして、もちろん、RWの時間にも活きてきます。
それだけではなくて、教師自身の時間も豊かになります。『リーディング・ワークショップ』の中から、私の好きな箇所を引用して、今日のWW便りは終わります。
「本のある生活を豊かなものにし、子どもたちに命を吹き込む最良の方法は、教師自身が本とのかかわりを深め、教師自身の本を読む生活に命を吹き込むことです。<中略>私たちが読むという経験を広げて深めることは、読むことを教える ときに活きてきます。しかし、教師が本を読む最も大切な理由は、 楽しみながら本を読むことで教師自身が元気になったり、励まされ たり、慰められたりする姿を子どもたちに見せることができ、本を 読むとはどういうことなのかを教えられるからです」
出典:
○ 上で紹介した『ライティング・ワークショップ』(新評論、2007年)の読み書きのつながりについては、93-95ページをご覧ください。
○ 上で紹介した『リーディング・ワークショップ』(新評論、2010年)からの引用は、78ページに載っています。
2011年8月27日土曜日
2011年8月19日金曜日
インパクトのある、他の人の言葉を使う
前々回のWWは「夏休みの間にメンター・テキストを増やそう!」でした。
今回のWW便りのテーマは、「夏休みの間に(も)(子どもたちに紹介したいような、また自分の励みになりそうな)インパクトのある、他の人の言葉(に出合い、それ)を増やそう!」です。
何かを書くときに、インパクトのある言葉を引用することは、よく行われるように思います。私も、引用で書き始める(あるいは書き終わる)こともありますし、もちろん、本文中で誰かの言葉を引用することもあります。
インパクトのある、他の人の言葉を使う、ということを考えていて、このWW便りでも何度か紹介している、ナンシー・アトウエル氏の本の最後のほうに、「ライティング/リーディング・ワークショップを実施している教室の壁に貼っておけるような言葉の引用例」という一覧があることを思い出しました。
それで、その箇所をもう一度、見たくなりました。
中学校レベルのすぐれた実践者であるナンシー・アトウエル氏のいろいろな著作の大ファンである私は、この一覧に挙げてあるいろいろな人の言葉を選んだアトウエル氏の思いを考えたりしながら、読みました。
彼女の選んだ言葉は、もちろん、書くこと・読むことに限定したものもありますが、書くこと・読むことだけに限定されずに、生きること、考えること、学ぶことに関わる引用も多かったです。
今日は、アトウエルさんの本の「ライティング/リーディング・ワークショップを実施している教室の壁に貼れるような言葉の引用例」から、書くことについて私が印象に残ったものを、私の下手な私訳で申し訳ありませんが、2つ紹介します。
「読む人が飛ばしそうな箇所は、省いておくようにしています」
エルモア・レナード (作家)
「これ以上、削除すべき単語が一つも見つけられないときに、詩が完成したということが分かります」
ボビー・キャッツ (詩人)
上の二つの引用が印象に残ったのは、「削除する、省く」というのは、子どもたちにとって(多分、大人にとっても?)、難しいことの一つのように思えるからです。
夏休みの間に、ライティング・ワークショップで子どもたちに紹介できるような、書くこと(や学ぶこと、考えること、生きること)についての、インパクトのある言葉にもたくさん出合い、書き留めておきたいものです。
また、それ以外にも、お気に入りのフレーズなどは、作家ノートに書き留めておくと、いつか自分の作品の中に引用してインパクトを増すこともできるかもしれません。
出典:
Nancie Atwell 著 の In the Middle (Boynton, 1998) 519-521ページには、「ライティング/リーディング・ワークショップを実施している教室の壁に貼っておけるような言葉の引用例」が、3ページに渡って載っています。
2011年8月12日金曜日
WWの中で本を使う
前回のWW便りは、「夏休みの間にメンター・テキストを増やそう!」でした。
その流れで、今回は「WWの中で本を使う」です。『ライティング・ワークショッ
プ』(新評論、2007年)の第7章が「ライティング・ワークショップのなかでの本の使
い方」という章(93~107ページ)です。ぜひ、この章もご覧ください。
特にミニ・レッスンで本を使う(101~105ページ)と、カンファランスで本を使う
(105~107)は具体的です。
その流れで、今回は「WWの中で本を使う」です。『ライティング・ワークショッ
プ』(新評論、2007年)の第7章が「ライティング・ワークショップのなかでの本の使
い方」という章(93~107ページ)です。ぜひ、この章もご覧ください。
特にミニ・レッスンで本を使う(101~105ページ)と、カンファランスで本を使う
(105~107)は具体的です。
★ WWで使える本の増やし方をいくつか考えてみました。
→ パロディというところから、次の本が浮かびました。『へそまがり昔ばなし』で
す。この話の中では赤ずきんちゃんはピストルをオオカミにピストルを向けます。
○ 先学期自分が行ったミニ・レッスンやカンファランスを思い出して、リストをつくり、
その中で「本をつかって教えると、効果的なものはないかな? そのためには、どう
いうポイントの本があるといい?」と、自分に問いかけてみて、いくつか書き出してみる
のもいいかもしれません。
○ 102-103ページに書かれている本のリストから、同じようなポイントを学べる本
はないかな?と考えてみるのも、一つの手かもしれません。あるいは芋づる式?に、
他のポイントが浮かぶかもしれません。
はないかな?と考えてみるのも、一つの手かもしれません。あるいは芋づる式?に、
他のポイントが浮かぶかもしれません。
例えば、そのリストの最初に出てくる本は、以下のように紹介されています(102
ページ)
『三びきのコブタのほんとうの話ーーA. ウルフ談』 (ジョン・シェスカ著)
ある出来事を、従来とは異なる立場から書くことが学べます。
→ ここから私の頭に浮かんだ本は、この話つながりで、『3びきのかわいいオオカ
ページ)
『三びきのコブタのほんとうの話ーーA. ウルフ談』 (ジョン・シェスカ著)
ある出来事を、従来とは異なる立場から書くことが学べます。
→ ここから私の頭に浮かんだ本は、この話つながりで、『3びきのかわいいオオカ
ミ』でした。芋づる式?に、少し違うポイントの本を思い出し始めまたのです。
『3びきのかわいいオオカ ミ』 からは、従来の立場を逆転させることもできるなあと
『3びきのかわいいオオカ ミ』 からは、従来の立場を逆転させることもできるなあと
思いましたし、パロディの面白さも学べ ると思いました。
→ パロディというところから、次の本が浮かびました。『へそまがり昔ばなし』で
す。この話の中では赤ずきんちゃんはピストルをオオカミにピストルを向けます。
パロディというジャンルの一つのメンター・テキストになりそうです。
○ 先学期自分が行ったミニ・レッスンやカンファランスを思い出して、リストをつくり、
その中で「本をつかって教えると、効果的なものはないかな? そのためには、どう
いうポイントの本があるといい?」と、自分に問いかけてみて、いくつか書き出してみる
のもいいかもしれません。
そのリストがあると、何か本を読んだときに、書名を書き込んでいくことができます。
→ ちなみに、私は「書き出し」や「対話」を教えるミニ・レッスンで、本を使わな
いことはありません。
★ 前回のWW便りには、「特に絵本をお薦めするのは、短時間で読みたり、紹介でき
たりするだけでなく、いい文章の要素が凝縮される形で詰まっているからです」と書
かれていましたが、同じ理由で詩もお薦めです。夏休み、ぜひ、詩も楽しんでください。
→ ちなみに、私は「書き出し」や「対話」を教えるミニ・レッスンで、本を使わな
いことはありません。
★ 前回のWW便りには、「特に絵本をお薦めするのは、短時間で読みたり、紹介でき
たりするだけでなく、いい文章の要素が凝縮される形で詰まっているからです」と書
かれていましたが、同じ理由で詩もお薦めです。夏休み、ぜひ、詩も楽しんでください。
自分が気に入った、いろいろな人のいろいろな詩を集めて、自分だけの
「お気に入り詩集」をつくるのも、いいかもしれません。
(→ 私はつくっています。これがあると、「明日はどの詩で授業を始めようかな」と、パラパラ見れます。
いろいろなアイディアも浮かびます。つくってよかったです。好きな詩も増やし続けたいです)。
出典:
出典:
『三びきのコブタのほんとうの話ーーA. ウルフ談』 ジョン・シェスカ(著)
レイン・スミス(絵)、岩波書店、1991年
『3びきのかわいいオオカミ 』ユージーン トリビザス (著), ヘレン オクセンバリー (イラスト)
こだま ともこ (翻訳) 、冨山房, 1994年
『へそまがり昔ばなし』ロアルド ダール (著)、クェンティン ブレイク (イラスト)
灰島 かり (翻訳)、評論社、2002年
2011年8月5日金曜日
夏休みの間にメンター・テキストを増やそう!!
とにかくたくさんの本(特に、絵本★)を夏休みの間に読んで、WW(作家)の時間にメンター・テキストとして使える本を探してください。
まずは、自分がおもしろいと思える本、子どもたちに紹介したいと思える本を探してください。それらはすべて、読み聞かせ用の本として最低限使えます。さらには、RW(読書家)の時間をしている方は、そのメンター・テキストとして使える可能性大です。
おもしろい/紹介したいと思った本は、いい文章の要素や3回連続で紹介したWilliam Zinsserの「いい文章を書くには」などの視点(要するに、「作家の視点」)で見てみると、どういうとき(ミニ・レッスン)に使えるかが浮かんできます。身近においておくと、カンファランスでも使えます。
いい本は、ぜひ教えてください。WWサイトに載せますので。
★ 特に絵本をお薦めするのは、短時間で読めたり、紹介できたりするだけでなく、いい文章の要素が凝縮される形で詰まっているからです。
まずは、自分がおもしろいと思える本、子どもたちに紹介したいと思える本を探してください。それらはすべて、読み聞かせ用の本として最低限使えます。さらには、RW(読書家)の時間をしている方は、そのメンター・テキストとして使える可能性大です。
おもしろい/紹介したいと思った本は、いい文章の要素や3回連続で紹介したWilliam Zinsserの「いい文章を書くには」などの視点(要するに、「作家の視点」)で見てみると、どういうとき(ミニ・レッスン)に使えるかが浮かんできます。身近においておくと、カンファランスでも使えます。
いい本は、ぜひ教えてください。WWサイトに載せますので。
★ 特に絵本をお薦めするのは、短時間で読めたり、紹介できたりするだけでなく、いい文章の要素が凝縮される形で詰まっているからです。