コロンビア大学のティーチャーズ・カレッジの読み書きプロジェクトを率いるルーシー・カルキンズ氏は、ドナルド・マレー氏の15分間のカンファランスを受けるために、月に一度、片道3時間30分も車を走らせていた、という有名な話があります。その年には、合計で10回ぐらいのカンファランスを受けたようですが、その10回のカンファランスが、書き手になる、ということを教えてくれたと言っています(The Conferring Handbook、IVページ)(Lucy Calkins, Amanda Hartmen, Zoё White, and The Unit of Study Coauthors、Heinemann, 2003)。
(★ドナルド・マレー氏は、ピュッリツアー賞も受賞した優れた書き手ですし、ライティング・ワークショップのような教え方に多大なる貢献をした人です)。
15分のために、片道3時間30分も運転したというこのエピソードを語ることで、それだけカンファランスが大切だということを言いたかったのだと思います。
このエピソードが書いてある上の本では、前回のブログで紹介した(1)観察して、(2)教えることを決めて、(3)教える、というカンファランスの要素にのっとってーーそしてこの3つの最後に(4)つなげる、という要素もいれてーー、カンファランスの具体例が数多く書かれている本です。カンファランスの具体例の本と言ってもいいと思います。対象の子どもは、主に低学年です。
上の4つのカンファランスの要素は、どのカンファランスでも必要だと思いますが、教え方にはいくつかの方法があるようです。この本のカンファランス例を見ていると、カンファランスの内容や方法が、いくつかの大きく分類され、それが、それぞれのカンファランス例に、それぞれ明記されていることに気付きました。
カンファランスの方法については、4つぐらいに分類しています。その4つの方法は、ミニ・レッスンにも使えると述べ、以下のようにまとめています(VII - VIIIページ)ので、そのメモを共有します。
(1)低学年で使う頻度が高いのは「先生が導きつつの練習」
教師が教えたいことを伝え、子どもがそれをしてみるようにする。そのときに、その子がそれをできるように(あるいはより上手にできるように)一歩一歩導いて行く(簡単な助言をしたり、足場/土台をつくっていくような感じで)。できるようになるにつれ、先生の導きを減らす。そして終われば、今したことに名前をつけて、今後も使っていくように言う。
(2)「先生がやって見せる」
教師が教えたいことを伝え、それをやって見せ、子どもに観察させる。それから子どもにバトンを渡す(子どもの番とする)。(このときに上記の「先生が導きつつの練習」も使うこともある)。そして終われば、今したことに名前をつけて、今後も使っていくように言う。
(3)「やることをはっきりと分かるように伝え、その例を示す」
とてもとても短い講義のように、教えることを説明して、それについての例を示す。例えば、「書き手は写真家のようなもので、牧草地すべての写真を取る代わりに、焦点を決めて写真をとる」、そんな感じです。そのあとに、例えば、大きなトピックに取り組む中で、その中にある点に焦点を絞って書くことにしたクラスの子の例などを示す。
(4)(低学年ではあまり使われないが)「調べる/探求する」
あることについて調べて/探求してみて、そこから学べる原則を推定する。
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